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過払い金請求の時効について。

2010/5/2 17:06
hoo(ID:bbf2c629b2e2)

初めてご相談致します。
端的に言うと、過払い金請求権の時効は、「完済後10年」ということですか。。
判例などの「最終取引から10年」の解釈で困っています。「最終取引」は、「最後に返済したとき」ということではなく、「完済時」と考えてよいのでしょうか。

依頼者の方ですが、2社に対し、平成11年に最後に返済して以降、やむを得ぬ事情のため、両社とも、5~10万円ほど未払いのまま放置していたそうです。
2社とも履歴は開示してくれて、それぞれ100万円を超える過払いが発生しています。
また、1社については、平成14年にきた督促状が残っていますが、もう1社は、平成11年に残債がある履歴だけです。

訴訟をしても、時効成立で、実質争うこともできないのでは、と心配です。この時効の捉え方について、教えていただければ有り難いのですが。どうぞよろしくお願い致します。




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5/4 15:43 >残債があり取引が終了していない以上、時効は成立しえない...

◆ 匿名2010/5/4 15:43(ID:d537e987ec80)

>残債があり取引が終了していない以上、時効は成立しえない、と思っています。
>これは、完済していても同じ話で、完済後10年が経過したとしても、自動更新条項があって基本契約が終了していない限り、やはり新たな借入金債務の発生が見込まれるからです。
>こう考えると、起算点となる「取引が終了した時点」というのは、「完済した時点」ではなく、基本契約が終了した「契約期間の満了時点」と考えるべきだと思います。


基本的には取引終了時=取引履歴の最終記載日(貸付日/返済日)と考えるのが素直でしょうね。
H11から貸し借りなしであれば時効完成で仕方ないです。
依頼者には、「基本負ける」ことを前提に、それでも訴訟をしたいのであればするということで理屈を考えることになりましょうか。和解狙いで色々な手を使うというのもありかもしれません。


「やむを得ぬ事情」が何かわかりませんし、約定で残が残るとのことなのでないと思いますが、一応、承継(関連)会社との間での借換え等がなかったかは確認した方がいいかと思います。


なお、上記消滅時効の理屈(残債があり取引(基本契約)が終了していない以上、時効は成立しない)を通すと、残債があり業者から請求があった場合や貸金返還請求訴訟になった時に消費者側が消滅時効を主張できなくなってしまいます。

5/4 17:00 2010年5月 4日 12:58 の匿名です >記消滅時効の理屈(残債...

◆ 匿名2010/5/4 17:00(ID:d537e987ec80)

2010年5月 4日 12:58 の匿名です

>記消滅時効の理屈(残債があり取引(基本契約)が終了していない以上、時効は成立しない)を通すと、残債があり業者から請求があった場合や貸金返還請求訴訟になった時に消費者側が消滅時効を主張できなくなってしまいます。

この点についてですが、契約中に期限の利益喪失条項があるはずです。したがって、業者側からは期限の利益喪失を理由に権利を行使することができます。

したがって、上記理屈によったとしても、権利行使できるのにしなかったということで時効の主張はできると考えています。

もっとも、これはあくまでも私なりに考えた理屈です。2010年5月 4日 15:43の匿名さんがおっしゃるように、敗訴する可能性はかなり高いと思いますし、裁判所でどのように判断されるかは未知数です。

弁と依頼者と慎重協議の上、少しでもよい結果になることをお祈りします。

5/4 18:09 2010年5月 4日 15:43の匿名です。 貸金債務と不当利得返還債...

◆ 匿名2010/5/4 18:09(ID:d537e987ec80)

2010年5月 4日 15:43の匿名です。

貸金債務と不当利得返還債務を一緒に論じたために混乱させてしまった感があり申し訳ありません。

起算点をずらす考え方(弁護士に委任した日、引き直し計算日等)、不法行為を使う考え方については「Q&A過払金返還請求の手引」(民事法研究会)P241以下を参照してください(但し、少数説。)
なお、上記の本は近日改訂版が出るとのことです。

以下は、トピの内容と離れることと、個人的な意見ですので、興味のある方だけ見て頂ければと思います。

まず、前提として、消滅時効の起算点は、貸金債務=各弁済期毎に消滅時効が進行/不当利得の場合、原則=過払金発生時、例外(充当合意がある場合)=最終取引日。

これまでは、貸金業者が、貸金債務と同様に考えて、不当利得の上記原則を「毎月の支払毎に」消滅時効が進行するとして消滅時効の主張をしてきたところに、最高裁が出て例外的に充当合意がある場合は最終取引日に権利がまとめて発生するという見解を明らかにしたものです。

その上で

>この点についてですが、契約中に期限の利益喪失条項があるはずです。したがって、業者側からは期限の利益喪失を理由に権利を行使することができます。
>したがって、上記理屈によったとしても、権利行使できるのにしなかったということで時効の主張はできると考えています。


割賦払いの債務の事案(期限の利益喪失約款付き)消滅時効の起算点を債権者が残額全部の請求をしたときからとする判例があります(最判S42.6.23)。ただ反対説(不履行時から)もあります。

まあ、どっちにしても、過払金と違い最終取引日に権利がまとめて発生すると言う考え方は採用していませんので、前回の最後の発言は撤回させていただきます。


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