■過払い利息を残元金に充当するか否か
今年某弁護士事務所に入社してまだ半年もなってない者です。債務整理を主にやっているのですが、毎日、弁や債権者にどなられて泣きながら頑張ってます。
いきなりトピだしてすみませんが、質問させてください。
総量規制や利息制限法の改正に伴ってか、債権者との任意交渉が段々難しくなっています。
引き直し計算をして残がのこってしまった場合の交渉の仕方について質問です。
通常うちの事務所では、債務者が取引期間中に完済したことがある場合、途中ででる過払い利息を残元金に充当して計算をするんですが・・・債権者はそれを認めないといいます。債権者の計算では過払い利息充当してないんで、当然3~4万かは変わってきます(個人差はありますが)
債権者の意見をつっぱねると、今度は「じゃあ最終入金日から和解提案日まで経過利息をつけろ」とか「そっちは過払い利息つけろっていうんだからこっちも経過利息つけろっていいますよ」とか言ってきます。
ほんっとあーいえばこういう債権者に嫌気が差します。
それを弁にいうと、まだ入社して間もない私がいうことですから「あなたがなめられてるんじゃないの?」といわれます。
何とか反論できるものはないかと色々探していたら、昭和39年11月18日の判例をみつけました。「制限超過部分の支払いは無効であり、元本が残存している場合にそれを支払ったときはその支払った部分は元本に充当される」という過払い金の起源ともいえる判決だそうです。
これで主張して良いものなのでしょうか?
自分の言いたいことが伝わっているか不安ですが・・・すみません、皆さんの知恵を貸してください。
7/4 17:25 昭和39年の最高裁判決があるから、利息制限法引き直し計算 ...
昭和39年の最高裁判決があるから、利息制限法引き直し計算
をしているのであって、この判決の主旨を主張せずに引き直し
計算をすることはないので、あなたが主張している内容には
すでにこの最高裁判決の主張は入っています。
そもそも、債権者との交渉を事務職員がしていることが間違い
です。
事務職員ができるのは、「伝言」であって「交渉」ではない
のです。
債権者は「あーいえばこういう」ものです
そうでなければ、こちらの主張を丸飲みにしてくれます。
弁護士さんが「あなたがなめられてるんじゃないの?」と
いうのは間違っています。交渉しているのは事務局ではなく
弁護士です。
なめられているのはその弁護士です。
あなたは弁護士の言葉を「伝言」しているだけです。
もしあながた「交渉」しているのであれば、即時にやめな
さい。弁護士に交渉させなさい。
事務員は、相手方の主張を弁護士に伝え、弁護士の主張を
相手方に伝えることはできますが、相手方の主張に事務員
が反論することも同意を与えることもできません。
あくまでも交渉は弁護士が行うものであり、事務員が行う
ものではありません。事務員が行えば弁護士法違反の可能
性もあります。
債権者の意見をつっぱねるのも弁護士であって、あなたが
つっぱねることは出来ません。
「じゃあ最終入金日から和解提案日まで経過利息をつけろ」
とか「そっちは過払い利息つけろっていうんだからこっち
も経過利息つけろっていいますよ」とか言ってくれば、そ
のまま弁護士に伝言すれば良いのです、そこであなたが
悩む必要は全くありません。
7/4 21:56 なるほど。私が主張していることは入っていたわけですね。お...
なるほど。私が主張していることは入っていたわけですね。お恥ずかしい…ありがとうございました。
7/4 23:12 一応、他の人の勉強のため、補足しておきます。 上記の考え...
一応、他の人の勉強のため、補足しておきます。
上記の考え方は充当論といい、現在の主流の考え方です。
ご指摘の39年判決から流れる流れで最高裁はぶれていないと考え、空白の期間の長短(10年以上は別にして)にかかわらず充当肯定と言う考え方があります。これを当然充当説といいます。消費者系弁護士の目標点ともいえます。
もっとも、空白期間が長い、明らかに別の借入(アイクとディック等)と充当を否定する考え方もありえます(恐らく、消費者金融側はそう反論するでしょう)。このような考え方を採る裁判官も多数います。
もっともこの場合、残が残る事案では相殺の遡及効(民法506条2項)を使うことによって充当と同じ考え方を導くことが出来ます(正確には出来る場合と出来ない場合がある)。これを某弁はディフェンス相殺論と呼んでいます。
更に進んで、相殺を使えば過払いにも使えるのではと言う問題が生じます。ただし、この場合は払ったものでも相殺できると言う考え方を採る必要があり、少数説ながら肯定している裁判例も存在します。某弁はこれをオフェンス相殺論と呼んでいます。
そうすると、実務上は空白や別口の借入の場合、充当・相殺両者でディフェンスに徹して、相手の第2貸付の消滅時効まで粘るか、この場合第1貸付の過払は時効にかかる余地はないかを検討して、依頼者と協議して戦術を練ることになります。