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相手方
「事務員さんじゃ話にならないから、弁護士出してくれませんか?」
パラリーガル
「どの件はどの事務員が電話で対応すると弁護士が決めているのに、弁護士が決めた事務所の決まりを変えろということですか?」
相手方
「そうじゃなくて、あなたじゃ話にならないから......」
パラリーガル
「いや、だから、誰が電話に出るか、誰がどこまで受け答えをするか、どのような話になったら弁護士が途中で代わるか、どのような話なら弁護士に代わらないで事務員が後から報告するかという事務所内部の事務分配の基準について、外部の人間であるあなたが指図できることの根拠をお聞きしているんですが。」
相手方
「あのねえ、そういう話じゃなくて......」
パラリーガル
「いや、そういう話ですよね。いいですか、事務員が弁護士に「電話に出ろ」と命令することは、部下が上司に命令することですから、社会常識に反しますから、それが正当化できることの根拠をお聞きしているんですけど。」
相手方
「とにかく、あなたじゃ話にならないわけで......」
パラリーガル
「ですからね、私の言ったこと聞いてます? 本来事務所の取り決めである仕事の割り振りの基準や指揮命令系統のシステムについて、あなたは部外者にもかかわらず人の事務所の内部に干渉したと、そう聞いてよろしいわけですね?」
相手方
「そんなこと言ってないでしょう。」
パラリーガル
「いや、あなたは「弁護士を出せ」と命令しましたよね。要するに、弁護士は事務員に対して、この件は事務員が要件を聞いて後で弁護士に伝えろと、そういうふうに決めているのに、あなたは事務員がその決まりを破れと、弁護士に逆らえと、そう言ったんですよね。」
相手方
「だから、私は事務員さんとは話す気はありませんから......」
パラリーガル
「つまり、この事務所の電話の応対に関するルールは、弁護士じゃなくてあなたが決めるから事務員はそれに従えと、弁護士はどんな大事な仕事をしていても中断してあなたの電話に出る義務があるんだと、あなたはそう主張されたんですよね? そのように弁護士に伝えますから、それでいいですか?」
相手方
「そんなこと言ってないでしょう。私は、弁護士に電話を代わるように、あなたから弁護士に伝えてほしいと言ってるわけで......」
パラリーガル
「ですからね、私は弁護士の部下ですけど、私はあなたの部下じゃないわけで、あなたの命令に従う義務はないでしょう? 弁護士が決めたルールのほうが上でしょう? それとも、あなたは私の上司になったんですか? 契約書があるなら今すぐFAXしてくださいよ。」
相手方
「もういいですよ。結局、弁護士は電話に出てくれないんですか?」
パラリーガル
「いや、話聞いてます? 弁護士が事務員から電話を直接取り次ぐか、それとも事務員に聞かせて後で報告を受けるか、それを決める権限を持っているのは事務所に所属する弁護士だけだという話なんですから、あなたの質問は問題の所在を全然理解してないですよね? 私の言ってる意味わかります?」
相手方
「じゃあ、弁護士はいつ電話に出てくれるんですか?」
パラリーガル
「申し訳ないですけど、いつ電話に出るかどうかを決めるのも弁護士ですから、あなたの質問の前提が間違ってるんで、時間の無駄ですから、同じ質問は1回にまとめて頂けませんか? 新しい質問がないなら、もう電話切りますから。」
相手方
「つまり、弁護士は私からの電話には出てくれないということですね。」
パラリーガル
「人の話聞いています? 何度も同じこと言わせないで欲しいんですが、誰が電話に出るか、誰がどこまで受け答えをするか、どのような話になったら弁護士が途中で代わるのかという事務所内部の決まりについて、部外者が命令できる根拠が示せないなら、話は先に進みませんから、事務所の業務妨害ですから、あなたが私に話して私から弁護士に伝えるか、あなたが私に話したくないなら電話を切るか、どちらかにしてください。」
相手方
「だから、私は事務員さんとは話す気はありませんから......」
パラリーガル
「もう電話を切りたいということですね。わかりました。そのように弁護士に伝えておきますので。失礼します。」