■清算価値のしばり
いつも拝読し、勉強させていただいております。
個人民事再生を申立予定の依頼者がいます。わからないことがたくさんあるのですが、
2点、質問させて下さい。
受任した際は任意整理で、和解後、返済が開始されていました。あと未和解何社かを
残した状態で、支払い不能となり、小規模個人再生へ方針変更となったそうです(弁によれば)。
方針変更から間もなく1年経とうという時、担当することになり、書類を集めたところ、
高額の退職金見込み額(1000万円超)があることが判明しました。
8分の1を清算価値に加算するとほかも合わせて約300万となり、100万円の再生計画では
認可されない見込みとなってしまいました。
しかし、弁からは、300万円の再生計画を作成して提出するよう(依頼者の意向。それでも
破産はしたくないから、再生でその300万円で確定なら払うとのこと)指示を
受けています。
このような場合、皆様は、破産の方針に変更という選択肢がなければ、300万円の再生計画を
提出されるでしょうか(今まで、このような事例に出会ったことがないので不安に思っています)。
また、具体的には、どのようにその弁済計画表を作っていけばいいのでしょうか、按分する
のでしょうか???
もう一点は、利息・損害金のことについてです。
通常、債権者一覧表には残元本を記載すると思うのですが、本件のように、方針変更等の
事情もあり、受任から時間がたっている(約4年)場合、利息・損害金が付されると
(債権者からその申出があると)、基準額が見込みより大きく変わってしまうのではないかと
思うのですが。
文献によれば、「最終の弁済日から開始決定までの利息・損害金は弁護士会の統一基準では
考慮に入れないという運用だが、結局は再生債権者の対応次第、債権者から手続開始前の
利息について追加の届出があれば、法律上は、手続にのっていってしまう、債権者が届出を
してこなかったらそのままの額になる」との記載がありました。
実際は、どの程度の債権者が届出をしてくるのでしょうか。それにより、見込みより多い金額となって、認可は下りたけれど、思っていたより返済額が多いため、お金のない依頼者にとって、それを履行するのが難しくなってしまった、ということにならないか、とても心配です。
長文にていろいろ書いてしまい、うまく伝えられるか心配ですが、ご経験のある皆様、
ご教示下さい。
6/16 11:14 再生申立を行うと弁護士が判断したのなら、その方針に従えば...
再生申立を行うと弁護士が判断したのなら、その方針に従えば良く、事務員がその点を悩む必要はありません。
また、申立時の債権額は、元本のみ記載しておいてもかまわないと思います。開始決定前日までの損害金を請求する債権者は、債権届け出してきますので、そのときに認否すればよいのです。
掲示板の回答ですべてを理解するのは困難ですから、個人再生の本を買うなり借りるなりしてひととおり読まれた方がよいと思います。
6/16 13:05 たしかに、一回ゆっくり再生の本を読んだほうがいいと思いま...
たしかに、一回ゆっくり再生の本を読んだほうがいいと思いますが、
債権の確定
1 原則申立時(普通統一基準の金額を記載)
2 文句のある債権者が届出、届け出ないと申立時のもので確定
3 更に届出に文句のある再生債務者が異議
4 ここまで来ると評価の申立義務者が評価を申立てなければならない
となって、債務総額が確定します。
小規模個人再生の場合、最低弁済額
1 法律の定める最低弁済額(100万以上500万までだと100万円)
2 清算価値
のいずれか高いほうが最低弁済額となります。給与所得者再生だとこれに可処分所得用件が加わります。
6/16 14:47 お疲れ様です。 ちょっと、横道に逸れますが、教えて頂ければ...
お疲れ様です。
ちょっと、横道に逸れますが、教えて頂ければと思い、書き込みさせていただきます。
>文献によれば、「最終の弁済日から開始決定までの利息・損害金は弁護士会の統一基準では
考慮に入れないという運用だが、結局は再生債権者の対応次第、債権者から手続開始前の
利息について追加の届出があれば、法律上は、手続にのっていってしまう、債権者が届出を
してこなかったらそのままの額になる」との記載がありました
この文献を教えて頂けないでしょうか?
これは、破産の際の、「統一基準」だと思っていたのですが、
再生の際にも、このように把握していいのでしょうか?
以前、
再生の申立書の「債権者一覧表」の債権の額の欄に、
「●●円及びこれに対する●年●月●日(←最後に弁済した日)より完済に至るまで年●●%の割合による金員」
と記載してしまったため、
再生計画において、開始決定の前の日までの各利息または損害金を含めた金額をもとに再生債権の額を定めることになってしまい、
それによって、弁済すべき金額が、若干ですが、多くなってしまったな、、、と
疑問に思ったことがあります。
上記事件では、債権者10社ほどありましたが、
損害金部分について債権届け出をしてきた債権者は2社(シ●キとア●ム)でした。
届出をしてこなかった他の債権者との公平を図るために、損害金部分を否認したのですが、
債権者一覧表に上記のとおり記載してあったため、
結局は、無届の債権者の利息・損害金はもちろん、
否認部分を自認することで、全債権額の20%を確保するという手続きを踏みました。
6/16 17:31 いままでず~っと再生申立時の債権者一覧表には、利限残の元...
いままでず~っと再生申立時の債権者一覧表には、利限残の元金のみ記載しています。
債権者には債権額の届出ができるチャンスがありますので、届出債権額に問題なければ、そのまま再生手続に載ってきますし、届出しない債権者は、申立時の金額でいいということになりますからね。
トピ主さんの、「300万円の再生計画なんて・・」という考えは、私個人の金銭感覚としてはわかりますが、支払能力は個人ごとに違うので、あなたの感覚で考えない方がいいと思いますよ。
300万円を3年計画でムリなら5年ということも可能でしょうし。
それと、精算価値なのですから、破産申立した場合でも、同様の金額の積立が必要になりますから、破産したほうがいいなんてこともないと思います。
6/16 17:49 1点目について 匿名さんのおっしゃるとおり、先生の指示に...
1点目について
匿名さんのおっしゃるとおり、先生の指示に従えば良いと思います。
弁済計画表もいつもどおり作ります。
2点目について
最終弁済から開始決定までけっこう時間が経っているのに元金のみの債権額で申し立てしてしまったことがありますが、ほぼ全社から債権届出が出ました。
あまりに金額が違い過ぎると届出してくるようです。
なので、時間が経っているときは、なるべく申立て前日までの経過利息(または遅延損害金)を加算した債権額で申し立てるようにしています。
(開始決定後に弁済額が増加するのもイヤなので)
申立て前日までの利息を付けておけば、あまり届出してこない印象です。
6/18 15:09 皆様、ご回答頂き、ありがとうございました。 私も、手続につ...
皆様、ご回答頂き、ありがとうございました。
私も、手続について理解不足があるのですが、以前所属していた
クレサラ事務所で取り扱っていた個人再生の申立事件(再生担当ではなかったので、詳細は不明ですが、一部に係わったものは50件程度でしょうか)においては、
清算価値の金額が高くなる=方針再検討というやり方で進められていたようでした。
そのため、「清算価値の金額のほうが高い場合、そちらの金額で計画案を作る、っていうのは、
そもそも有りなのか??」というのが、素朴な疑問でした。
しかし、皆様の書き込みによれば、普通に、その方法を取るということのようですね。
よくわかりました。
この依頼者は、月々30000円程度しか返済に充てられないと言っており、
家計状況を作成してもらったところ、実際少ない収入で、ギリギリの生活を
している様子で、返済が300万程度になってしまうことに対し、極度に取り乱していました。
(何とかする、と言ったり、払えなくなったらどうなるのか、と言ったりしているようです)
申立時点で、見込んでいる返済額と、手続の中で確定する額は、大きく変わることは
ないのか?ということも大きな疑問でした。
このように時間が経っているケースでは、申立日前日までの損害金を見込んだ額、
清算価値の額、の高い方で計画案を考える必要もあるのですね。
皆様ありがとうございました。
最後になりましたが、東京の匿名様、私が引用した文献は、「個人債務者再生手続実務解説Q&A
増補版」㈱青林書店発行のもので、P204の「Q39認可の要件」の(3)にその記載がありました。
東京の匿名様は
再生の申立書の「債権者一覧表」の債権の額の欄に、
「●●円及びこれに対する●年●月●日(←最後に弁済した日)より完済に至るまで年●●%の割合による金員」
と記載してしまったため、
と書かれていますが、これは、「●●円」のみの記載にしたほうが…という趣旨なのですよね。
(申立までそれほど時間が経っていないと仮定して)
これを一読されたし、という文献、是非ご紹介頂ければと思います。
6/21 13:45 原資月3万だと弁済期間5年にしてもらっても履行可能性のある...
原資月3万だと弁済期間5年にしてもらっても履行可能性のある弁済計画が立てられないような…。
まあ、弁護士が再生で行けると判断されたからには、何か手だて(ボーナス月加算とか?)があるのだろうと思いますが、気になったものですから。