■書証の原本・写しの別について
いつもこちらで勉強させて頂いています。ありがとうございます。
先輩方にお教え頂きたいのですが、書証の「原本」・「写し」とは、どのように考えればいいのでしょうか。
証拠説明書に「原本」・「写し」の別を記載する際、原本になるのか写しになるのか判断できないものがありまして・・・。
契約書や戸籍謄本、商業登記簿謄本、日記、メモ、陳述書などは、手元にそのものがある場合、「原本」として記載することはわかりますが、
①メールのやり取りをプリントアウトしたもの
②グーグル等の地図をプリントアウトしたもの
③企業のホームページをプリントアウトしたもの
④ネガから現像した写真
⑤デジカメで撮った写真
以前書記官にお聞きしたことがあるのですが、原本でも写しでもどちらでも可、というような回答を頂きまして・・・。
これについては先生もわりとアバウトなので、もし何か判断基準がありましたらお教えください。
よろしくお願いします。
6/22 13:43 1~3、6は元は電磁的なものを紙に出力したので写し、 5もネガ...
1~3、6は元は電磁的なものを紙に出力したので写し、
5もネガを紙に出力したので写し、
しかし写真は「写真帳」にしたら「写真帳」が原本になりうる・・・
たいした判断基準ではなくすみません。
6/22 14:51 うちの弁は、例えば、戸籍謄本など、明らかな原本は原本扱い...
うちの弁は、例えば、戸籍謄本など、明らかな原本は原本扱いですが、
「裁判所に見せなくてもいいから、副本にしておいて」
といった指示を受けます(証拠説明書作成中に)。
だから、厳密なものはないのかと・・・。
皆様どうされているんでしょうか。。。
ちなみにおそらく⑤以外は全部写しかな・・・。
下手したら⑤も写し扱いかも・・・。
6/23 13:59 原本→証拠として提出しようとしているもの(主に書証)そのも...
原本→証拠として提出しようとしているもの(主に書証)そのもの
写し→原本の複写
写しを原本→原本が手元にないのでコピーを原本として提出
民事訴訟法上、書証は何でも出せるので便宜上、上記のようにするわけです。便宜上、原本が提出されると原本の存在を裁判所が確認します。写しだと相手方に原本の存在を争いますか(要はそのような原本が存在しているかを争うかと言う意味)と聞いて、そうならそこが争点、そうでないと争いがなくなります。
実務上は原本の成立に争いがないと写しを提出しても原本の存在はあるものとの心証をとり手続が進みます。
※裁判所には原則として原本のコピーを提出しますが(訴状の添付書面の甲号証写しと言うもの)、謄本類は原本を提出します。
ここまでが、一般論
ご質問の点は、実は厳密に言えば書証ではありません(ネガは書証かもしれません)。電磁的記録自体が証拠となります。
ところが、実務上は書証以外の証拠は扱いが面倒くさいため、紙媒体の書証にしてしまい書証に準じて扱い、成立過程に争いがあるかを問題にすることとしています。電磁的記録のコンピューター信号どうのこうのという議論をしても仕方がないので。
6/25 10:51 匿名様、1年生様、某弁様、お忙しい中お教え頂きありがとう...
匿名様、1年生様、某弁様、お忙しい中お教え頂きありがとうございました。
私の理解力が足りず申し訳ありません。
某弁様の、
「実務上は書証以外の証拠は・・・・・紙媒体の書証にしてしまい書証に準じて扱い」
という部分は、
電磁的記録自体が証拠だが、実務上は、紙媒体にしたものを原本とし、書証として扱って差し支えない、
という意味でしょうか?
こちらで質問させて頂いてからも調べていたのですが、
ある法律事務所のHPには、
「デジタルデータをプリントアウトして、それを書証の原本として提出するという取り扱いが認められている」
との記載があり、
また、別の弁護士さんがネット上に書いておられた文章には、
「プリントアウトしたメールのやりとりは「写し」になる」
との記載があり、さらに混乱しています・・・。
昨日も、当方依頼者が見積もり書・請求書をメールに添付して送信しているケースがあり、裁判所に出すためにプリントアウトしたものは「原本」なのか「写し」なのか、悩んでおりました。
みなさま、またお時間ありましたら、お教えください。
よろしくお願いいたします。
6/25 13:22 要は何を原本としたいかは、提出する側で決められるわけです...
要は何を原本としたいかは、提出する側で決められるわけです。
ただし、写しを原本とすると原本→写しの過程は争いうることになります。
従って、メールデータを打ち出して証拠として提出する場合、メールデータを原本(厳密にはメールデータは書証ではないが、民事訴訟法231条で文書に準じて処理される)としても良いし、メールデータから打ち出したものを原本(写しを原本)としてもいいわけです。
前者だと、メールデータ自体を法廷に上程できないから、裁判官は相手方に「原本の存在を争いますか?」と聞いて、争わないと原本が存在することに争いがないものとして扱われることになります。争うと、上程が不可能な以上、写しとして提出することになるのではと思います。
ここら辺を面倒くさがる代理人だと、写しを原本として提出して、準備書面の中で打ち出しの過程を争うか否かを明確にさせていくこととなります。
そして、どうも裁判官によって処理が違う気もします。
某弁的にはどっちでも同じなので裁判所の指示に従います(要は写しの作成の過程に疑義を言ってきているのかが重要)。
結局いえるのは、メールデータが残っている、これを打ち出したものが書証で提出されていると言うことなので、上記の疑義があるないを確定させて、前者ならその確認の手続(検証?)、後者ならそのまま手続が進みます。
※余談ですが、原本性はいまだに某弁も良く分からないところで、よく法廷で原本として提出したものが写しにさせられたりしています。打ち出しの過程が偽造だとでも争われていない限り、どっちでも良かったりします。
なぜなら、過払いの相手方の取引明細にしたって何が原本なのか良く分からないでしょ。
6/29 10:59 某弁様、丁寧にご教示下さりありがとうございました。 ...
某弁様、丁寧にご教示下さりありがとうございました。
お礼が遅くなり、大変失礼いたしました。
何を原本としたいかは提出する側で決められること、その後の手続きの違
い、裁判官によって処理が異なることもあること等があるのですね。今までの
各種訴訟記録の証拠説明書も当たってみましたが、同一訴訟・同一弁護士さん
から提出されたメールでも、「写し」であったり、「原本」であったり様々だ
ったこと、納得できました。
当事務所ではなかなか先生にお聞きしたり、教えて頂ける状況ではなく、自
分で調べても不十分なため、こちらで皆さまに教えて頂けることは大変心強い
です。
また、こちらで質問させて頂いた際にはお教え頂ければ嬉しいです。
皆さま、ありがとうございました。