■個人再生をした場合の、主債務者と保証人の債務の関係・消滅時効について
いつも勉強させていただいています。
個人再生をした場合の、主債務者と保証人の債務の関係・消滅時効について教えてください。
【事例】
平成18年4月1日に、再生計画が認可された(返済期間5年)。
再生債権の中に、父が保証人になっている債権(債権者:株式会社A)があった。
株式会社Aの確定債権額120万円、再生計画による返済総額24万円。
(→主債務者が24万円を弁済し、保証人が96万円を弁済することになった。)
保証人(父)は、一度も弁済することなく、平成19年5月に死亡して、相続が開始した(相続人は、主債務者のほか二人)。
主債務者は、再生計画に従って弁済を続け、平成23年5月に再生計画分の24万円を完済した。
(保証人分の96万円は誰も一度も払っていない。)
平成23年8月に、株式会社Aから、保証人(父)宛てに、保証債務の支払いの請求がきた。
この場合に、主債務者と他の相続人は、保証債務の消滅時効を援用し、株式会社Aからの請求を拒むことができますか?
なお、現時点の考えは、以下のとおりです。
①民事再生法177条2項により、保証債務は付従性が否定されると考えられ、再生計画と切り離して考えると、主債務の時効中断効が及ばず、時効期間は平成18年4月1日からスタートして、すでに時効は完成している。
②民事再生法177条2項は、保証人に対して再生計画の効力が及ばないと規定しているだけなので、主債務の時効中断効が及ぶかどうかについては、原則どおり民法457条1項によって決まる。
なので、時効期間は平成23年5月にスタートして、まだ時効は完成していない。
以上です。
最初は感覚的に①かな?と思いましたが、よく考えていくと②のほうが論理的な感じがします。
皆さんのご意見を聞かせてください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
【前提】
(個人再生の消滅時効期間)
個人再生の場合、民事再生法238条により、同180条の適用が除外されている。
そのため、債権者一覧表の記載が債務名義とならず、時効期間は10年に伸長されないため、5年で消滅時効が完成する。
【参考】
(民事再生法)
第百七十七条 再生計画は、再生債務者、すべての再生債権者及び再生のために債務を負担し、又は担保を提供する者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。
2 再生計画は、別除権者が有する第五十三条第一項に規定する担保権、再生債権者が再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び再生債務者以外の者が再生債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。
9/6 12:04 自信はないですが、権利変更があったとはいえ主債務が完済し...
自信はないですが、権利変更があったとはいえ主債務が完済したんですから、
保証債務は消滅したとシンプルにはいかないですかね?無理か?
民事再生法177条2項があっても、主債務者だけが権利変更等、メリット(救済)があって個人の保証人(?、かってに決めてる)に、の、人的責任には、何も及ばないのは公平感を欠く、と思うな。「善良な風俗に、信義則に、違反するとまでは言えない」? だろうか?
少なくとも、個人(自然人)の保証人を限定的にでも、無くしていこうという気運に反する。
時効の始期はあれですが、これだとその議論を迂回できます。
9/6 15:12 >保証債務は消滅したとシンプルにはいかないですかね? →残...
>保証債務は消滅したとシンプルにはいかないですかね?
→残念ながら、いきません。
177条2項は、保証人等が無意味にならないために設けられた規定です。
おそらくエイワさんはお分かりのことと思いますが。
私は②だと思います。
エイワさんのお考えどおり、
附従性が否定されるのは再生計画に限定されていると考えられるからです。
もし②なら相続放棄でしょうか・・・?
法律的な問題なので、案外、先生に聞けばあっさり答えが返ってくる気もします。
9/6 15:29 債務整理系のトピで、ハンドルネームを「エイワ」にされるの...
債務整理系のトピで、ハンドルネームを「エイワ」にされるのはいかがなものかと…
9/6 16:27 拝読を賜りありがとうございます。しつこいのは好きではあり...
拝読を賜りありがとうございます。しつこいのは好きではありませんが、ただ、無力化しないためと言っても、そもそも、保証のその目的が支払いを担保するためであれば、事実、実質的に、目的は喪失していませんかね?
9/6 17:34 前に調べたことがありますが、学説上は①も②も両方の見解があ...
前に調べたことがありますが、学説上は①も②も両方の見解があったはずです。
判例等はなかった記憶です。
ただ、再生計画の認可によって主債務者よりも保証人の責任が大きくなっていて、附従性も(全部かは別にして)切れていると考えられるので、主債務者の時効中断と保証人の中断は直接連動しないと考えるのが合理的に思います。
実際上、主債務者を超える債務を持つ保証人に対して時効保全の措置を採っていないのに、大半が免除された主債務者の債務弁済で保証人が不利益を受けるのは理不尽に思います。
そういう意味で、私は①を支持したいと考えています。
定説がないと思いますので、そういう場合は自分の依頼者に有利な見解を主張するのが代理人の仕事ですしね。
9/8 18:25 ご回答ありがとうございます
皆様、たくさんのご回答、ご意見ありがとうございます。
いずれも、とても参考になりました。
判例等が出ていないとのことで、やはり解釈次第ということになりそうですね・・・。
結論が出ている論点ではない以上、まずは依頼者に有利な見解①を主張して反応を見てみようと思います。
白か黒ではなくて、間をとって和解という形も検討してみます。
そして、どうしても②でしか話がつかない場合は、相続放棄を検討したいと思います。
ただ、相続放棄の熟慮期間を経過している以上、主債務者以外の相続人はともかく、主債務者が相続放棄することは難しいかと思うので、その辺りも考える必要がありそうです。
なお、この件について書かれている文献を探してみたのですが、見つけることができなかったので、もし何か学説等が掲載されている文献をご存知でしたら、教えていただければ幸いです。
9/9 10:07 「時効の管理」「続・時効の管理」という本は時効で悩んだと...
「時効の管理」「続・時効の管理」という本は時効で悩んだときにはだいたい役立ちます。
改訂を重ねているので、版ごとに記載箇所や内容が変わっていてややこしいですが、
とりあえず平成22年6月発売の「新版 続 時効の管理」では、403頁あたりにこの問題に近い話が載っています。
ただ、これは通常の民事再生の場合の説明なので、個人再生では若干違う部分がありますので注意が必要です。
定評のある本なので、持っている法律事務所はかなり多いはずです。
ご参考までに。
9/12 18:55 ご回答ありがとうございます
とくめい様
ご返事ありがとうございました。
当事務所では、時効の問題については別の書籍で対応しているようでしたので、早速、上司に稟議を上げました。
いただいたアドバイスを元に、債権者との話し合いを進めていきたいと思います。
この度は本当にありがとうございました。
9/13 10:09 こんなハンドルネームに真面目に答える方がおかしいですよ。 ...
こんなハンドルネームに真面目に答える方がおかしいですよ。
消費者金融エイワの社員でしょ・・・
9/25 15:25 申し訳ございませんでした
ハンドルネーム「エイワ」がトピに相応しくないとのお叱りの言葉をいただき、ハンドルネームを変更させていただきました。
小規模個人再生債務者の立場での質問でしたので、消費者金融のエイワとは立場が異なるものであり、他意はございませんでしたが、多くの方に誤解を与えてしまいました。
ご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。