■破産者本人への組み入れ打診について
お世話になっております。東京のひとり事務員です。
今般,弁護士が個人の破産管財人に選任され,処理をおこなっているところですが,疑問が生じているので,みなさまのお力をお貸しいただけたらと思います。
破産者は,元妻に子供の養育費を,公正証書で定めた金額よりかなり多く払っており,上乗せ分は過去2年で100万以上になります。偏頗弁済にあたるとして,元妻に対して否認請求をおこないましたが,生活苦のため返済は一切できないとの回答で,けんもほろろに断られ困っています。
しかしながら,このまま訴訟にもっていくというのもできれば避けたいので,破産者本人に一部を財団に組み入れてもらいたいと考えているのですが,それは可能でしょうか。以前,申立をした事件で,管財人から破産者本人に請求されたことがあり,今回同じ事をおこないたいと思っているのですが,法的根拠を教えていただけませんでしょうか。
よろしくお願いいたします。
1/22 16:56 破産者本人への組み入れ打診について
元妻に対して否認請求,とありますが,誤解のないように書きますと,前段階の任意での返還を求めたものになります。失礼しました。
なお,免責不許可事由が相当程度あり裁量免責(252条2項)との関係上,破産者に相当額の財団組み入れを求めることは,例外的にあります。よって,本人に否認対象額の一部または全部につき財団組み入れをさせることが,免責を許可するのが相当であると判断する事情になると考えれば,破産手続上本人に任意で返還を求めることは,費用対効果をふまえ否認の訴えまたは請求の申立前段階の回収手段としては正しいということでよろしいのでしょうか。
1/22 17:00 お願いします。 その方、何してるんですかね。 非免責...
お願いします。
その方、何してるんですかね。
非免責債権(養育費)の部分は公正証書記載分を払うのは良いとして、それを超える部分は新得財産から払うのは勝手であるけれども、
それ以外の部分は何で財団を減少させて払う必要があるんですか?
何にあたるんですか?
財団に戻してください。で良いと思います。
たぶん、離婚の協議か何かで公正証書を作ってるんですね。
新破産法の詐害否認になれば、160条でしょう。
財団を減少させる行為で、他の債権者の満足を害しています。
その元妻の方の財団に戻すべき債務を破産者の方が、かわって支払うのは特に規定があるもので無く、妻の責任を代わって何とかしてる。
紙の上で無い、立体の社会の道義的な責務「工夫」でしょうか?
あるいは、単純に民法の不当利得ですよね。
別段、法律的根拠によらないで、ミスか何かで、利得しただけです。
妻に100万円を60回月宛16,000円を、支払って戻してください。と、もう少し具体的に分割でお願いしてみて、それ(それすらも)でも難しいのなら、
「個人的には、でも、たぶん詐害否認の予定している法益の保護は、不動産を不当に守るべく、事前に名義変更の登記等、もう少し高額の財団の減少を保護している。のが、規定の設立の趣旨でしょうか。可罰的違法性の感覚では
この軽微なものは保護の対象とは、なじまなく、違法性は薄いと思います(しかしそこは破産裁判所のリーガルマインド如何ですので)。」
現実的には、
回収の困難な債務として、裁判所に放棄を頼んでみる。
ので、その元妻の方に、2月分くらいの家計の収支をお願いして、それを精査、検討して(弁済原資)無理そうであれば、
事情を言って、仮に回収できても(5年位の)長期に及ぶ、懸念があること。そのことは案件の処理を遅らせる。それはしいては、債権者(それがあっても仮に得られる利益は「配当あれば」実質数%である)と、債務者の両方の利益に馴染まない。
(わかりませんが)また、妻の債務の回収のために、訴訟の提起、債務名義を取得しても、現実回収できる、見るべき資産は無く、勤務先も不安定で、(パートである)のでここ(給料)からの回収の見込みも薄いです。いたずらに時間と費用を浪費する懸念がある。と
また、その妻も自身で健康で文化的な生活を享受して、かつお子さんにそれを提供する義務がある。と思いますので、その観点からも
これらを総合的に勘案して、管財人としては放棄を選択したい。とかあっても良いと思います。
1/23 1:30 法的根拠ということであれば、管財人である弁護士が考える範...
法的根拠ということであれば、管財人である弁護士が考える範疇であると思われますが・・・
破産法265条ないし266条あたりでしょうか。
ご参考までに。
1/23 11:07 法的根拠は、債権者平等の原則。 破産制度の本来の目的であ...
法的根拠は、債権者平等の原則。
破産制度の本来の目的であるともいえる。
偏頗弁済分の組入は、裁判所の運用にすぎない。
265条は、罰則規定。
根底には債権者平等原則を担保する趣旨があると思うが。
否認権行使の相手方に資産がないのであれば、訴訟を行っても財団に資するものがないので、ほかの方法を考えざるを得ず、破産者に偏頗弁済分を組み入れさせることが可能であれば、それも一つの選択と思われる。
1/23 11:41 Re:破産者本人への組み入れ打診について
トピ主です。
なるほど…相手方に分割での返還を求めたり,生活状況を提出させたりしても資力がないことがわかれば,訴訟にまでは持ち込まず放棄するのが最良策ですね。また,破産者に偏頗弁済分を財団組み入れさせることはあくまで裁判所の運用で,根底には債権者平等の原則があるのですね。偏頗弁済とはそもそも一部の債権者のみ優遇してしまうために免責不許可事由になるということですものね。
大変参考になりました。皆様ありがとうございました。
1/23 19:00 管財人でもないただの事務員が債権放棄とか言い出すんですね ...
管財人でもないただの事務員が債権放棄とか言い出すんですね
恐ろしい事務所があったもんだ
1/24 10:29 法的根拠は債権者平等の原則というご意見もありますが、私は...
法的根拠は債権者平等の原則というご意見もありますが、私はむしろ、破産債権者に対する詐害行為(破産財団を不当に減少させる行為として)だと思います。否認権の根拠としては、160条1項1号か2号か162条1項1号あたりでしょうね。
これらの行為は免責不許可事由でもありますから(252条1項1号か3号。場合によっては、財産隠匿の意図があった可能性すらある)、破産者が免責を受けるために、破産者等に破産財団の損害分を組み入れをさせ、もって、免責不許可事由をないことにしてもらう、という運用も存在すると思います。が、それと否認とは場面は別です。
トピ主さまは偏ぱ弁済にあたると書いておられますが、定められた額よりも多く払っているということですから、非義務行為のように思います。それとも将来分の先払いの意図でしょうか?だとしても、弁済期未到来の債務だからやはり非義務行為だと思います。
まあ、いずれにせよ受け取ったほうが費消しちゃってれば、否認しても財団に回復が受けられないので、放棄等も考えざるを得ないかもしれませんが。
回収可能性や、破産者の免責不許可事由該当性については、弁護士に考えてもらって下さい。
1/24 11:14 否認権の行使の効果 →破産財団を原状復させる(破産法16...
否認権の行使の効果
→破産財団を原状復させる(破産法167条1項)。贈与が否認されると、当然に破産財団に復帰する。
具体的には否認権行使の相手方が破産者から受けた給付を返還、またはその価額を償還するということ。
>破産者本人に一部を財団に組み入れてもらいたいと考えている
トピ主の書き込みは、否認権行使の相手方が受けた利益を返還する法的根拠ではなく、破産者本人に損失補填のような形で財団に組み入れさせる法的根拠を聞いているのではないかな。
そうなると、否認権では理屈を説明しにくいと思うが、どうか。原状回復行為の一形態とも言えるかも知れないが。
1/24 11:50 Re:破産者本人への組み入れ打診について
特定の債権者のみに返済をおこなったという理解で偏頗行為にあたり,債権者平等の原則に反するのかと思っていましたが,義務(養育費の額)以上の支払いをおこなっていたから,債権者の権利を害する行為と考えられるのですね。なるほど…
はい,お聞ききしたかった趣旨は,否認権行使の相手方の受けた利益を財団に返還させる法的根拠ではなく,相手方に支払ったことで財団に生じた損失を破産者本人に補填させることに法的根拠があるのかなと思ったのです。しかしながら,偏頗または詐害行為という免責不許可事由を回避するためにその損失を破産者に補填させる運用がおこなわれているということがわかりましたので,本人に請求をおこなってみようと思います。
皆様ありがとうございました。
>52f9f080622bさま
誤解のある書き方をして失礼しました。否認権行使の相手方または破産者本人からも返還がのぞめない場合には訴訟に持ち込んでも利益が見込めないので,裁判所の運用として債権放棄を考えざるを得ないということを意図していました。なお,私は仰るとおりただの事務員ですので,自分で判断することなどひとつもありません。事務員に任せきりの事務所ではありません。あくまで弁護士に相談を受けたときに,こういう考え方もあるようですと参考までにお伝え出来ればと思い,自分で理解を深めておこうとしているだけです。不快な思いをさせてしまったようですみませんでした。
1/24 14:53 300ac7663f93です。一部繰り返しになりますが、念のため。完...
300ac7663f93です。一部繰り返しになりますが、念のため。完璧ではないかもしれませんが、私なりの理解ということで。
免責不許可事由に該当する破産者の行為がある場合(特に否認等でもその損害を財団に回復しきれなかった場合)、破産者本人財団組み入れさせるとすれば、その意味は管財人が破産者の免責を判断するための参考要素だと思います。
破産者がそれに応じる根拠・メリットとしては、免責不許可事由があっても裁量免責を得られる(可能性が増える)ということです。これ以上に特段の法的根拠はないと思います。例とするには不適当かもしれませんが、イメージ的には、窃盗(器物損壊でも横領でもいいけど)をしてしまったが、被害額を弁償するので勘弁してくださいとお願いする感じでしょうか。基本的には破産は財産の問題なので、債権者の蒙った金銭的損害が回復・減少すれば、それでよしという考えはあると思います。破産は債権者のための分配手続きで、債権者にとっては、破産者を免責不許可にするより、より多く金を返してもらうほうが嬉しいことが多いかと。
ただし、どこの裁判所でもやるのかまでは知りません。
1/24 16:24 Re:破産者本人への組み入れ打診について
お忙しい中,再度のご投稿ありがとうございます。300ac7663f93さまの明文により,自分なりに理解したことを再確認させていただいて,より視界がクリアになってきました。
当方の弁護士が管財人に選任されるのは,東京だけですので私も他の裁判所の運用はわかりませんが,もし他の裁判所でも,偏頗・詐害等の免責不許可事由回避のために破産者本人に損失を補填させる扱いをしている若しくはこんな運用をしてますということがあれば,是非教えていただきたいものです。